日本デジタル教科書学会第10回年次大会 お礼
8月21日(土),22日(日)開催の日本デジタル教科書学会第10回年次大会(オンライン開催)には,約300名の皆様からご参加をいただきました。また,25件のすばらしい研究発表をしていただきました。
1日目の午後は,信州大学名誉教授の東原義訓先生から「デジタル教科書・教材に関する最新情報―国の動向と東原の開発・実践研究を中心に―」というテーマで基調講演をしていただきました。90分の時間があっという間でした。「明治維新で学校を創設したことと同じように,令和維新ではデジタル教科書環境を構築することが必要である。」とのお言葉は,大変印象深かったです。そのくらい大きな変革の時であることを強く認識しました。また,「学習者用デジタル教科書は,教える道具ではない,学ぶ道具である。」とのお言葉も,強く印象に残りました。私たちが留意すべき点であると考えます。
2日目の午後は,放送大学教授の中川一史先生,東北大学大学院教授の堀田龍也先生による第10回記念大会特別対談でした。時代の変化や世界の変化について具体例を基に説明していただいた上での,GIGAスクール構想は時代の変化に伴う学びの変化に対応するためのインフラであるという堀田先生のお話からは,なぜ今GIGAスクール構想なのかがよく分かりました。また,GIGAスクール構想は,これまでの授業方法,教科書の位置付け,教師の役割,学校のあり方,さらに,児童生徒にとってのツールとの関わりを再構築するきっかけや営みであるという中川先生お話は,とても大切な視点と感じました。そして,地域ごとのICT整備の格差等の問題では,お二人の先生からの様々なお話により,具体的な要因等を考えることができました。最後にお二人の先生からいただいた本学会に対するデジタル教科書の研究等に関するアドバイスやエールは,今後,学会で取り組むべき方向を示していただくものでした。
本大会における若手優秀賞は,大熊太郎氏(昭和女子大学附属昭和小学校)の「画像情報共有アプリケーションとデジタル教科書を併用し児童の考えを視覚化して表現した授業実践報告」でした。また,若手奨励賞は2件でした。大坪勇太氏(茨城大学大学院)の「1人1台端末活用に関する小学校教員が考える阻害要因及び改善法の提案」と,小池翔太氏(東京学芸大学附属小金井小学校)の「小学校第5学年社会科における学習者用デジタル教科書を活用した授業デザインの実践的検討」でした。デジタル教科書を活用した具体的な授業実践,1人1台端末の活用に関わる研究等,今必要な研究に意欲的に取り組み,すばらしい成果を出していると感じました。
前大会,本大会と京都大学に本部を置き,オンライン開催となりましたが,次年度こそは対面発表ができることを願い,大会実行委員長を反田任先生にお願いして,次回も京都大会を予定しています。
今後とも本学会をよろしくお願いいたします。
日本デジタル教科書学会第10回年次大会 大会実行委員長 広瀬 一弥
日本デジタル教科書学会 前 会 長 長谷川春生