11月1日デジタル教科書×デジタルペン活用研究会

【名 称】 「デジタル教科書×デジタルペン活用研究会 in 東京 〜デジタル教科書×デジタルペンがもたらす未来の教育〜」
【日 付】 2013年11月1日(金)18時~
【会 場】 DNP五反田ビル9会会議室(東京都品川区西五反田 3-5-20)
【主催等】 主催:日本デジタル教科書学会 / 協賛:DNP 大日本印刷株式会社
【参加者】 65名 (学校関係14、通信教育・塾4、教材会社11、研究者4、学生3、大日本印刷16、企業5、取材等5、その他3)

【動画リスト】

日本デジタル教科書学会研究委員会チャンネル

参加者内訳

【概 要】 ★以下の報告や各種文書をまとめた報告書です。⇒ デジタルペン研究会・全体まとめ(PDF)

2013年11月1日(月)18時より、DNP五反田ビル9階会議室にて、本学会主催研究会「デジタル教科書×デジタルペン活用研究会 in 東京 ~デジタル教科書×デジタルペンがもたらす未来の教育~」が開催された。

デジタルペンに特化した研究会は日本初ということもあり、注目度の高い研究会となった。金曜日夕方の開催にも関わらず65名の参加者で盛況であった。

会に先立ち、本学会理事の菊地秀文が、「なぜデジタル教科書とデジタルペンの組み合わせの研究が求められるのか」について説明を行った。菊地らの小学校におけるタブレット端末を活用した実践を紹介、デジタル教科書を使用したノートテイキング時に、一覧性や手書き文字の認識の課題から、学習者の特性や学習課題によっては紙とタブレットの併用が効果的であるとの知見を発表した。さらに、紙を使ってノートテイキングを行う場合でも、デジタルペンを活用することでデジタル化が可能であり、デジタルペンとデジタル教科書との連携に大きな可能性があることを報告した。

「なぜデジタル教科書とデジタルペンの組み合わせの研究が求められるのか」(PDF)
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講演および実践報告では、デジタルペンを活用した学習評価や、一斉授業・恊働学習・タブレット端末併用スタイルなど、様々な活用の形が紹介された。

はじめに、寺本貴啓氏(國學院大學人間開発学部)から、「教育機器の研究のあり方とデジタルペン活用の将来性 ~小学校理科における表現力の効果検証を事例に~」との演題でご講演いただいた。これまで、教育機器が導入されても一般教員への汎用性が低かったことを指摘、汎用性が高く簡便なデジタルペンには教育研究において将来性があることをご紹介いただいた。さらに、小学校の理科教育で、デジタルペンによる視覚的なダイナミック・アセスメントを活用した指導によって、「根拠ある説明(表現)」能力が身につくことが明らかになったことをご報告いただいた。

寺本貴啓「教育機器の研究のあり方とデジタルペン活用の将来性」(PDF)
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竹村郷氏(港区立青山小学校)からは、「デジタルペンが授業を変える」と題してご講演いただいた。青山小学校のデジタルペンを活用した授業を紹介、即時性に優れるデジタルペンの活用によって、児童の思考や意見共有が視覚を通して可能になったこと、デジタルペンには、児童が考えのよさを認め価値付ける効用がある事などをご報告いただいた。さらに、デジタルペンの活用は、相手に伝わるように意図的に書くことを習慣化し、能動的な授業が可能にすることをご紹介いただいた。

竹村郷「デジタルペンが授業を変える」(PDF)
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丹波信夫氏(半田市立岩滑小学校)には、「デジタルペンとタブレットによる協働学習 思考の可視化に挑戦」との演題でご講演いただいた。デジタルペンとタブレット端末を併用した恊働学習の実践のビデオを使いながら、次のご報告をいただいた。1)発言力を持たなかったり、ノートになかなか書き出せなかったりした下位児童に対して、端末を持つ=マインドリセット的な教育効果があらわれてきた。2)常にグループ内や全体での発表を視野に入れてまとめていこうとする姿勢が見られるようになってきた。3)思考の順番までが発表の材料になり得た。

丹波信夫「デジタルペンとタブレットによる協働学習 思考の可視化に挑戦」(PDF)
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菊地秀文(世田谷区立砧南小学校/教育テスト研究センター)は、「紙にデジタルの特性をプラス デジタル教科書時代のノートテイキング」と題し、児童1人1本のデジタルペンとグループ1台のタブレット端末を併用した恊働学習の実践を紹介した。児童自身がタブレット端末でノートの比較検討、思考過程の再生を利用して考えを発表する事で、主体的な学習が可能になったことを報告した。また、紙のノートに、デジタルペンでソーシャルな要素を付与することが児童の学習意欲の向上につながったことを報告した。

菊地秀文「紙にデジタルの特性をプラス デジタル教科書時代のノートテイキング」(PDF)
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坂本早苗氏(大日本印刷)からは、「デジタルペンの今後の可能性」と題してデジタルペンの最新事情についてご紹介いただいた。企業においても、デジタルペンはタブレット端末を補完・共有しあうツールになりつつあり、タブレットの横に紙とペンを置いていくという流れがでてきていること、タブレットを導入している学校がデジタルペンに注目している現状についてご報告いただいた。さらに、音声記録機能付きのデジタルペンや電子黒板的に使える商品、タブレットのディスプレイにドットを印刷して組み込んだ製品などもご紹介いただいた。

坂本早苗「デジタルペンの今後の可能性」(PDF)
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講演に続く、ディスカッションでは、菊地秀文をコーディネーターに、寺本 貴啓氏と竹村郷氏にご登壇いただき、参加者から出された次の質問について密度の濃い議論が行われた。1)デジタル教科書・教材とデジタルペンの連携の可能性。2)教育用ビックデータとしてのストロークデータの研究・現場においての活用イメージ。3)授業を行う際や教材作成の際、ストロークデータの解析について、どのような視点・着眼点をもっていけばよいか。4)理科におけるストロークデータの活用。

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今回の研究会では、デジタル教科書端末を導入するかどうかというレベルの話ではなく、一歩先のデジタル教科書端末導入後の教育の姿、課題について議論をすることができた。これは、大きな成果である。また、指導者視点の話ではなく、学習者視点の話で全体が語られていたことも重要な点である。ペンによって学習データを解析できる事の大きな可能性、教育のビックデータ活用、学力の分析方法というところまで突っ込んだ議論は、参加者に大きなインパクトを与え、次の研究への大きなヒントになったのではないだろうか.

会の運営も工夫した。会場正面の3面スクリーンには、発表資料と並列して授業支援ソフトの画面を表示し、参加者にデジタルペンを利用して専用のワークシートに感想や質問を記入してもらった内容を会場全体でリアルタイムに共有した。講演を聴きながら、ワークショップも兼ねるという新しい体験を提供することができ、デジタルペン活用の新たなスタイルを提案できたと考える。

さらに、マッチングの時間を設け、今後デジタルペンを活用したいという実践の方、教材開発の方の複数のマッチングも行う事ができた。多くの共同研究を生みだすきっかけをつくることができた。総会でも上がった課題に対する答えを示す事ができたのも成果だと考える。今後、研究グループを立ち上げ、研究発表、論文化につなげていけるように学会としてサポートしていきたい。

アクティブなスタイルの研究会となり、参加者からも好評をいただいた。会を通して、デジタル教科書とデジタルペンが連携することによって、大きな教育の可能性を持つ事を、参加者の方々と共有する事ができたのではないだろうか。

今回の研究会の記録は、ビデオも含め、具体的でわかりやすい形で広くオープンにして共有していくことを考えている。そして、さらに研究をもりあげていきたいと考える。(世田谷区立砧南小学校/教育テスト研究センター 菊地秀文)

会場の様子(その1)

会場の様子(その2)

会場の様子(その3)


★以下は、募集時の文章です★(事務局)

デジタル教科書の活用を進める上で,文字の入力や紙のノートとの併用は大きな課題となります。デジタルペンは,紙に専用ペンで書いた文字をデジタル化するものです。デジタル教科書とデジタルペンをハイブリット利用することで教育の可能性は大きく広がります。

本研究会では,デジタルペンを活用した最新の実践事例をご紹介すると同時に,デジタルペンを用いた授業支援システムを経験していただきます。さらに,今後デジタル教科書・教材とデジタルペンをハイブリット利用する研究を行いたいと考える“実践者”“研究者”“開発者(企業)”それぞれのマッチングも行っていきます。特に,「これまで実践を行いたかったけれど機材がなかった」という実践者に向けての,実践研究用デジタルペン貸し出し企画もご案内したいと思います。またとない機会です。皆様のご参加をお待ちしております。

 

1.日時 2013 年11月1日(金)18:00〜21:00(受付 17:30〜)

2.場所 DNP 五反田ビル (東京都品川区西五反田 3-5-20 )8 階会議室

3.参加費 一般 1,500 円 学会員 500 円(当日会場にてお支払いください)

4.講師(講演順,敬称略)
寺本 貴啓(國學院大學人間開発学部初等教育学科 准教授)
丹波 信夫(半田市立岩滑小学校 教諭)
竹村 郷(港区立青山小学校 副校長)
菊地 秀文(世田谷区立砧南小学校 教諭)

5.プログラム
(1)開会,趣旨説明
(2)デジタルペンワークショップ
(3)講演
(4)ディスカッション「デジタル教科書×デジタルペンがもたらす未来の教育」
(5)参加者全員によるフリートークセッション&共同研究のためのマッチングタイム
(カフェド・デジタルペン)
(6)閉会
※ 終了後懇親会(五反田駅前予定,費用別途4,000円程度)

6.参加申込み
日本デジタル教科書学会研究委員会 study@js-dt.jp 宛にメールにて以下の内容を記
入してお送りください。締め切りは,10 月 20 日(日)です。不明な点などのお問い合わ
せもこちらのアドレスまでお願いいたします。
(1)お名前
(2)ご所属
(3)懇親会への参加希望
(4)デジタルペン研究についての興味関心等(任意)