日本デジタル教科書学会第11回年次大会(京都大会) お礼

 8月20日(土),21日(日)開催の日本デジタル教科書学会第11回年次大会(対面・オンライン ハイブリッド開催)には,約250名の皆様にご参加いただきました。また,24件のすばらしい研究発表をしていただきました。
 第11回年次大会では「教育DXがもたらす教育の再構築〜GIGAスクール時代の学びのあり方〜」を大会テーマとし, デジタル教科書活用, 今後の授業デザイン, 学びのあり方について多面的な視点から捉え, 考える大会を志向しました。
 1日目の午後の基調講演には,経済産業省商務・サービスグループサービス政策課 教育産業室長の五十棲浩二氏をお招きし, 「教育DXでつくる「未来の教室」」というテーマでご講演をいただきました。ご講演の後, 参加者からの質疑応答, ディスカッションという流れの進行で, 90分の時間があっという間でした。デジタル教科書の大学教職課程での活用についての課題なども出され, 一つ一つの質問に丁寧に応えていただきました。中学校・高等学校の副校長のご経験もお持ちで, そのご経験を踏まえてのお話や示唆を伺うことができました。「デジタル教科書に期待すること」, 「日本デジタル教科書学会の皆様に期待すること」についてもお話しいただき, 今後の学会の研究活動に向けての大きなエールをいただきました。
 2日目の午後の特別講演には,神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部教授の石井雅章先生をお招きし, 「STEAM教育の可能性―持続可能な世界のためのリベラルアーツ」をテーマにご講演いただきました。環境社会学をご専門とされる石井先生からは,「STEAM教育がめざすもの」, 「持続可能な世界」, 「持続可能な世界に向けての学び」の3つの観点からお話をいただきました。お話の中で私たちは「科学・学問・技術・芸術・表現手法が相互に結びついた世界のなかで生きている」ので課題解決のために「コーディネーション(調整)」「コラボレーション(共同・協働)」「インテグレーション(統合)」が必要であり, STEAM教育は単なる教科横断ではなく, 「統合的な学び」として捉えていく必要性があるという点が印象的でした。さらにSDGsについても詳しいお話をいただき, 私たちが今後の「授業デザイン」や「学びのあり方」について考えるための大きな示唆をいただきました。
 本大会における若手優秀賞は,坂口嘉菜氏(上越教育大学)「聴覚障害者用教科書のデジタル教科書に求められる機能〜機能評価の観点の分析から〜」でした。
また若手奨励賞は村上綾菜氏(お茶の水女子大学)「データサイエンス初学者のためのWebアプリケーション教材の検討」と山本周氏(聖学院中学校高等学校)「教科横断型による情報I 「情報デザイン・データの活用分野」の教材開発と授業実践〜社会課題発見・解決体験型学習SDCと総合探究の接続を目指して〜」の2件でした。デジタル教科書のプロトタイプの制作や今年度から高等学校で始まった「情報I」の授業を意識したアプリ開発, 授業デザインなど時代の流れに即応した実践研究でどれも素晴らしい研究発表でした。
この3年間, 京都大学に本部を置き,昨年までの2年間はコロナ禍の政府の行動制限のため,フルオンラインで開催しましたが, 今回はようやく対面・オンライン(ハイブリッド)での開催ができました。これも参加いただいた皆様のご理解とご協力があってこそ実現できたことであると思います。
次年度大会(第12回年次大会)は信州大学(大会実行委員長:島田英昭先生)を会場に開催を予定しています。
 今後とも本学会をよろしくお願いいたします。

日本デジタル教科書学会第11回年次大会 大会実行委員長 反田 任
日本デジタル教科書学会         会 長     広瀬一弥